MENU

ホプキンスMSPHの一年を振り返る

hopkins

執筆者:マリナ

こんにちは!今日はホプキンスに留学してからの1年間の振り返り記事を書きたいと思います。ようやく1年間のコースワーク(授業)が終わりました。長い旅路でした。記念に、term3とterm4(1月から5月まで)の講義の感想、課外活動について書きたいと思います。

term1とterm2の初めの半年間の記事はこちら。

あわせて読みたい
ホプキンスMSPHの半年を振り返る 執筆者:マリナ こんにちは!今日は冬休みの時間がある間に、ホプキンスに留学してからの半年間の振り返り記事を書きたいと思います。私のプログラムについての詳細はこ...
目次

講義内容

Johns Hopkins 公衆衛生大学院は、約8週間が1Termとなっており、以下の科目をTerm 3とTerm4を合わせた約半年間で学びました。受講したほとんどの科目は、私の所属するプログラム必須のものです。簡単におすすめ順で説明したいと思います。

  • Scientific Writing in Health Sciences: Developing A Manuscript for Publication I (Term 3 & 4)
    こちらの授業は、過去の日本人の先輩が受講して神授業とブログに書いていたので受講してみました。16週間受けた結果、私の感想も同じく、神授業だと思います。授業も神ですし、何より教授が神だと思います
    クラスの形式は、教授1人に対して12人の生徒が会議室で授業を受ける形式の、こじんまりとしたアットホームな授業でした。注意点としては、データ解析までを一通り完了した人のみ受講できます。それぞれがデータ解析を終えた状態で、さあ、論文を執筆するぞ!というところから授業が始まります。授業では、背景から考察、アブストラクトまでの論文の書き方をIMRaD方式で教えてくれます。毎週、IMRaDの各セクションを書くことが課題として出されます。セクションの執筆が間に合わなくとも、事前に先生に連絡しておけば大丈夫です(私はDiscussionに時間がかかり、1週間遅れて提出しました)。他にも、カバーレター、雑誌投稿のプロセス、査読対応など幅広く論文執筆、投稿について教えてくれます。論文投稿が初めての人には、とても勉強になると思います。ですが、私個人の感想としては、むしろ論文投稿をしたことのある人の方が得るものが大きかったのではないかと思います。論文投稿に関して、それぞれの研究室、国によってお作法があるかと思いますが、この授業では、「アメリカ、ホプキンスではこういう方式で書くのか、こういうスタンダードなのか」という発見があります。こういうのはなかなか学ぶ機会がないので、とてもためになりました。

    教授が本当に素晴らしい人で、授業の中でいろいろな有益な雑談を交えてくれます。例えば、看護師限定の奨学金があるよ(実際に先生のおかげでゲットしました)とか、面白いイベントが今週にあるよ等、ホプキンスのリソースを最大限に活かせられるような話をポツポツと講義の中でしてくれます。それから、アカデミアの給料情報等も教えてくれます。

    形式:対面
    課題:ほとんど毎週、論文の進捗を提出
    評価:出席と論文の進捗提出


  • Methods in Implementation Science(Term 3)
  • Implementation Research Methods to Address Real World Epidemiological Questions (Term 4)

    上記2つはとても似ている授業なのでまとめて記載します。私は実装科学のCertificateを取得するため、上記2つの授業を受講しました。両方の授業ともに、実装研究のデザインを用いて研究計画を立て、レポートを数回提出、その都度先生よりフィードバックを受け、修正し完成形の研究計画書へ近づけていくという授業です。term4では最後にオンラインでプレゼン発表があり、リアルタイムで先生や生徒からのフィードバックを受けることができます。この授業は、自分の中ですでに研究テーマが固まっており、さらに実装研究のデザインを用いたい時にはかなり役立つ授業になると思います。term4の授業は特にドクターレベルの受講者を想定されているため、それぞれの生徒の質問や発表の質も高いなと思いました。先生も実装研究に意欲的であり、プレゼンの研究内容を最終的に行う場合にはぜひ話をしようと言ってくれました。

    形式:オンライン
    課題:リサーチプロポーザル、プレゼン
    評価:出席、課題、プレゼン


  • Health Communication Programs I: Planning and Strategic Design (Term 3 & 4)
    これだけは言わせてほしい。今までで一番重い授業でした。取る人は、相当ヘルスコミュニケーションに興味がないと、モチベーションが続かないと思います。私はヘルスコミュニケーションが大好きですが、それでもなかなかモチベーションを維持するには難しかったです。

    この授業は、16週間をかけてグループメンバーと共にコミュニケーションキャンペーンを実際に学校でやってみようぜ!という授業です。私の班は、「砂糖飲料の消費量を減らす」ことを目標としました。まず、週に2.5時間の対面の授業が2回あります。1時間ほどグループワークの時間があり、そこでキャンペーンについて進めていきます。キャンペーンをデザインするために、まずはn=100ほどのプレサーベイの調査項目を理論に沿って作成、サーベイの実施、解析、フォーカスグループで質的調査、専門の先生にメールでアプローチしてインタビュー、を全て合わせて形成調査します。その後、キャンペーンをデザインし、キャンペーンを2週間かけて行います。私のグループは、学校内で2回のテーブリングイベント、アート展示などを行いました。キャンペーン実施後は、再度サーベイをするために質問項目を検討、サーベイ実施、解析をします。その後グループでプレゼン発表で終了です。
    これだけでも多いのに、毎週グループでキャンペーンに関するレポート提出、中間テスト、他のグループのキャンペーンの批判ペーパー、などかなりの量の課題があり、term3,4で一番時間を取られました。
    グループメンバーとはとても仲良くなれますが、仲良くなれるかも運によります。さらに、サーベイの解析担当になると地獄です。サーベイデータのクリーニング、解析まで1人で行わなければならず、さらに必然とサーベイの質問項目の検討も行わなければいけず、とにかくかなり重かったです。hands-on experienceを得たいなら良い授業ですが、結構重いので用心してください。
    私は、東大のマスターの時には、他のグループメンバーに解析はおんぶに抱っこでしたが、今回は先生に褒められるまで解析を1人でできるようになっていたので、本当に成長したなあ、と1人で感動しました。そういう成長を発見できたので、良い授業でもあったとは思います。

    形式:対面
    課題:課題、グループメンバーからの評価、中間テスト、プレゼン
    評価:出席、課題、プレゼン

キャンペーンの写真を少し貼ります!

他にも以下の講義を受けましたが、どれもプログラム必須の授業で特におすすめの授業ではないため、割愛します。

  • Fundamentals of Program Evaluation
  • Health Literacy: Challenges and Strategies for Effective Communication
  • Applications of Negotiation and Mediation for Public Health Professionals
  • Organizational Behavior and Management
  • Creating, Implementing and Monitoring Budgets for Projects and Programs

課外活動

この半年間は、真剣にインターンシップの機会を得るために活動しました。

  1. Global Health Established Field Placements (GHEFP)への応募、インタビュー
    ホプキンスのCenter for Global Healthが提供している海外プロジェクトへの派遣プログラムに応募しました。
    低中所得国を中心に、各国でのプログラムに奨学金付きで参加できるプログラムです。
    例えば、ブラジルの食生活の傾向を理解するため、現地に赴きサーベイデータを解析したり、アフリカで感染症の動向を知るためのウェットラボに参加したり、等の多様なプロジェクトが用意されています。3つのプロジェクトを選び、マッチングで参加する生徒が選ばれる選考となっています。
    私は、行動変容のプロジェクト(全体の一つしかなかった…)と結核のRCT等のプロジェクト3つに応募しました。無事に3つともインタビューまで進むことができ、さらにインタビューでも感触がよかったものの、全てマッチングしませんでした。理由として考えられるのは、まずは本当に英語力、そしてヘルスコミュニケーション、行動科学的なプロジェクトがなく、私のバックグラウンドとの相性が合わなかったこと、そしてグローバルヘルスのバックグラウンドがなく、さらに低中所得国での経験がなかったことが理由かなと思います。そして、本来3ヶ月のプロジェクトを、インターンシップの要件を満たすために6ヶ月に延長できないかを相談したことも敗因の一つです…(考えられる敗因が多すぎる)
    私のプログラムの友人も全員受かっておらず、おそらく自身の専攻との相性は重要視されていると思います。


  2. 気になる教授へのアプローチ、4人の教授との面談
    私のプログラムは、2年目に半年間のフルタイムのインターンシップを行う必要があり、自分でインターンシップ先を見つける必要があります。新政権のこのご時世(研究資金がカットされ、数多くの研究プロジェクトが停止、中止)でポジションを見つけることはとてつもなく難しく、私も例に漏れず難航しました。
    まず、自身の興味のある研究プロジェクトを持っている先生にメールでアプローチをし面談をしてもらいました。しかし、2月に面談をしてもらったため、新政権の影響がどのようにあるかわからないと言われ、とりあえず保留となりました(その後も3回くらいメールを送りましたが、実りませんでした)。
    その後、他の先生にも何人もメールを送り、4人ほどの面談をしてもらいました。ホプキンスのファカルティーページから、私の研究テーマと合致している先生にとりあえず全員にメールを送りました。多くの先生は返事をいただけましたが、数名はいただけませんでした。結局、フルタイムで半年間のインターンシップをさせていただける先生はいませんでした。(パートタイムならいいという先生はいましたが、私のプログラムはフルタイムしかだめなので…)

  3. 2つのRAポジションへの応募、インタビュー
    所属分野のメーリスから、インターンを断られた先生のプロジェクトのRA募集のメールが….(パートタイムですが)。めげずに応募し、無事にインタビューまで辿り着きました。採用にはかなり前向きに検討していただいたのですが、フルタイム、かつ半年にしてくれと再度交渉しましたが、フルタイムは難しいと最終的には不採用となりました。
    次に、友人から教えてもらったRAポジションに応募しました。その先生とは面談の時から馬が合い、そのまま簡単な採用前のタスクを受けて無事に合格となりました。少しずつ仕事をするうちに、フルタイム半年でOKとの許可をいただけ、なんとかインターンをゲットすることができました。1つ目のRAももしかしてパートタイムから仕事を始めると、フルタイムにしてくれたのではないか、と今では思います。なので、もし今後ホプキンスでインターンを探す予定の人は、まずは苦しくてもターム2、3のうちにRAポジションをゲットし、それからフルタイムを交渉するのが得策かもしれません。

  4. 所属分野でのポスター発表
    私の所属のHealth, Behavior and Societyで、ファカルティと生徒の誰でもOKなポスター発表の会があったため、自身の研究テーマのポスター発表を行いました。この時は、意図的にすでにpublishedされた研究を発表し、論文を印刷してポスターの前に来てくれた人に配りました。意図としては、研究を実施し、出版までできるスキルがありますよとアピールする予定でした。幾人かの先生は興味を示してくれ、今後もし必要なら連絡してねという声掛けがあったのですが、あくまで日本のプロジェクトに参加するというスタンスで、先生のプロジェクトへのお声掛けはいただけませんでした….このご時世なので、先生方もfundがなく、むしろ外部のプロジェクトに参加したいという感じでした..笑
    でも、今後日本でプロジェクトを行う際の頼もしいコンサル相手ができたということで、一つの収穫です。

  5. 研究資金ゲット
    こちらは、Scientific Writingの教授が教えてくれ、推薦状まで書いてくれた研究資金の奨学金です。無事にゲットすることができたのですが、まだ内定なので詳細は書けません。確定、受給までできたら詳細を書きたいと思います!!

このような感じで最後の半年間は、授業よりもインターン先を見つけることに精神的に追い込まれていたと思います。

私の反省としては、最初からフルタイムを要求しない、自分の意見を通そうとしない、ということです。

term3の時は、毎週なにかの面談があるというようなハードなスケジュールでしたが、英語力がなくとも、なんとかなるということです。研究経験があることはかなりプラスになるので、研究経験だけはきちんと伝えられるようにしておくとなんとかうまくいきます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

夫婦二人で運営しています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次